ISBN:4062731290 文庫 村上 春樹 講談社 2001/04 ¥600 『Norwegian Wood』(原題『ノルウェイの森』)に見られる村上作品初期のストレートな魅力と、『The Wind-Up Bird Chronicle』(原題『ねじまき鳥クロニクル』)の複雑なミステリーとが絡み合うこの新作は、著者の7番目の英訳作品であり、村上春樹を堪能するには最高の代表作と言えよう。 筋は、単純だがいささか厄介だ。ひとりの大学生…

村上春樹を読んで、レビューを書くのは難しい・・・というのも読んだらほとんど記憶がなくなるからだ。私がこれまで読んできた村上春樹の作品は、結末という結末は書いていない。そこが気に入っている。

途中までものすごく面白いのに、結末で裏切られることは少なくない。あの盛り上がりはなんだったんだ・・・という気持ち。

それに比べて村上春樹は「スプートニクの恋人」のすみれが一体どういう経過で姿をくらましていたのか、その理由は闇の中、もしくは読み手の中にある。そこに村上春樹のすごさがあると私は思う。

私は想像力を駆使し、あらゆる場合を想定する。こたえのでないこたえ。やがてストーリーの続きは自分のものになる。
ISBN:4062630869 文庫 村上 春樹 講談社 1995/10 ¥540

対岸の彼女

2005年5月30日 読書
ISBN:4163235108 単行本 角田 光代 文藝春秋 2004/11/09 ¥1,680
ISBN:4101001545 文庫 村上 春樹 新潮社 2005/02/28 ¥740

結局二つのストーリーがいまいちつながりきれなかった気もするけど、そこが村上春樹ってかんじ。
面白かったけど短編の方が好きかもな。

今日はハーゲンダッツのマンゴー&ココナッツを食す。すごいなぁ、ハーゲンダッツは。がっかりすることがほんとにないんだよなぁ。マンゴーの贅沢な味もココナッツの濃厚な味も絶妙に詰まってるんだよね。すごい、すごい!

比べてクランキーのマンゴーヨーグルト味、微妙…レモンヨーグルトといったいどこが違うんだろう。チョコとマンゴーは仲良しになれないよねぇ。

晩年の子供

2005年5月19日 読書
ISBN:4061858297 文庫 山田 詠美 講談社 1994/12 ¥470

犬に噛まれたら狂犬病になってしまう・・・私もそんなことを信じていた子供だった。今思うとばかばかしいと思う。でも、実はそんなわけない、と思うおとなこそおかしいのではないか、とも思う。

純粋な気持ちを保っていたくても社会はそうさせてはくれないのだから。

夜のピクニック

2005年5月14日 読書
ISBN:4103971053 単行本 恩田 陸 新潮社 2004/07/31 ¥1,680

歩行祭…考えただけでぞっとするほどしんどそうだけど、素敵だな。思い出に残る理由がわかる気がする。

小学生のとき、修学旅行とは別に自然学校というものがあった。住み慣れた町を離れて自然の中でキャンプファイヤーしたりバーベキューしたり、ウォークラリーしたり。修学旅行よりも記憶に残っている。楽しいだけの記憶ってすぐに消えてしまうんだ。つらいことがあっても思い出すとつらい部分はどんどん思い出さなくなって、鮮明な思い出となって色を残す。

この本は読み始めた時からいかにも先が見えそうな話だったけど、話し手がいれかわるせいか退屈せず面白かった。

九月の四分の一

2005年5月9日 読書
ISBN:4104594016 単行本 大崎 善生 新潮社 2003/04 ¥1,365

「動物園ではねキリンが通貨になるんだよ。キリンは、とても繁殖力が強くてどこの動物園でも数が安定しているんだ。それに適当に人気もある。だからね、動物はキリンを通貨にして取引されるんだ。」

「カバは何キリンとか?」

「そう、カバは20キリン」

「サイは?」

「サイは高いよ。300キリンはするなあ、きっと。以前はね、ペリカンが通貨だったんだ。だけどペリカンはあまりにも増えすぎて貨幣価値が下落してしまったのさ。ペリカンインフレとでも言うのかな。数年前に世界中の動物園の関係者が集まってペリカン会議というのが開催されて、そこで通貨はキリンに切り替えられたんだ」


「ねえ。私って、あなたにとって…何キリンなの?」

―ケンジントンに捧げる花束より抜粋―


こういう会話は素敵だな。私もこんなことを言い合いたい。

GWで、パンダ、キリン、ゾウ、サイ、カバ、ライオン、牛、鹿、馬、豚、羊…今までの人生の中で一番動物を見た。知っている動物ばかりだったけど、物心がついてからこんなにもまじまじと動物を見たのは初めてだった。知っているけど知らない動物がこれだけいたことに驚かされる。

動物をおなかいっぱい見たせいか、妙にキリンの話が心に残る。「あなたにとって、私は何キリンなの?」
そんな問いを投げかけてみようかな。

流星ワゴン

2005年4月7日 読書
ISBN:406274998X 文庫 重松 清 講談社 2005/02 ¥730

父と息子の付き合い方が、簡単なようでいてどれだけ難しいのかを考えさせられた。私の男友達の中でも、父親と仲がよい人はそう多くない。母と娘が仲がよいという話は結構あるのに不思議。男同士は年齢関係なく友達のように話せないのだろうか。この小説のように、父と自分が同じ年齢で出会うことができたなら、朋輩と呼べる程わかりあえるのだろうか。男の世界の話だな、と思うと同時に憧れもある。

よくわからないのは妻の行動だ。結局妻の浮気性は主人公のせいではなかったのか。だとしたら、主人公が人生のやり直しを試み、妻の外出がなくなったというのは変だ。一見頭がおかしい妻のようにも描写されているが、最後になって、やはり主人公にも責任があったのだということを思わせる。疑問が残りつつも、完結している小説なんて読んでも面白くないよな・・・と思った。
ISBN:4048734105 単行本 大崎 善生 角川書店 2002/09 ¥1,575

パイロットフィッシュの番外編。パイロットフィッシュの方が正直言って面白かった。でも、私は「山崎」という主人公が好きだ。軟弱で方向音痴。それでいて、包容力のようなものを感じさせる。主人公にちょっと恋をしているのかもしれない。というわけで、ストーリーに文句をつける気はない。

大崎善生さんの作品は、不思議なめぐり合わせをおりまぜているところが気に入っている。デパートの屋上で30過ぎた人間が何時間も座っているわけないよ…と思いつつも、今後デパートの屋上に行くと、その光景を想像してしまいそうだ。パイロットフィッシュでは、「可奈」という女の子との過去のつながりをうまく織り込んでいたけれど、ありえなさそうでいて、ありえそうなギリギリのところを設定するのがうまいなぁ、と思う。
ISBN:410401303X 単行本 小川 洋子 新潮社 2003/08/28 ¥1,575 1990年の芥川賞受賞以来、1作ごとに確実に、その独自の世界観を築き上げてきた小川洋子。事故で記憶力を失った老数学者と、彼の世話をすることとなった母子とのふれあいを描いた本書は、そのひとつの到達点ともいえる作品である。現実との接点があいまいで、幻想的な登場人物を配す作風はそのままであるが、これまで著者の作品に潜んでい…

80分しか記憶がもたないなんて、気が遠くなるハナシだ。いっそのこと、その80分はなかった方が本人は幸せなんじゃないか。もちろん、そのことに答えはなくて、人にもよるし、時と場合によりけり、ともいえる。この設定の中で、一人の家政婦とその子供が、博士を悲しませないよう奮闘している光景は、美談にも傲慢にもとれる。

80分しか記憶できないなら、楽しいと感じた瞬間、それを忘れてしまうという恐怖からは逃れられないかもしれない。「誰かのために」と思うこと自体、信用できない。結局はすべて自分のためだと肯定してしまった方がすっきりすることもある。

家政婦もルートも、純粋に博士が好きだった。それで十分なんだ。人を好きだという気持ちは、ものすごいエネルギーだと思う。単純すぎて、理屈では片付けられない。

ちなみに私も博士が好きになってしまった。子供を無条件に愛し、抱きしめ、異常なまでに心配性になる博士を心から素敵だと思う。

天国の階段 (上)

2005年3月21日 読書
ISBN:4047914916 単行本 金 重明 角川書店 2004/12 ¥1,575

夢中で上下とも読破してしまった。またもや韓流ドラマの影響をうけてしまった。少しドラマみただけで、一体この先どうなるのかが気になってしかたがないのよね。あぁ、また結末まで読んでしまった。

それにしても、キム・テヒって美人だよなぁ。あんなに悪役なのに、彼女の笑顔が見たくて仕方がない私は一体…

韓国のドラマは全部波乱万丈で、何だか救いようのないところが1つの魅力なのかも。自分が落ち込んでる時は少し元気になれるさ。
ISBN:4048735306 単行本 大崎 善生 角川書店 2004/05 ¥1,470

大崎善生にはまりつつある。ストーリーが面白いというよりは、共感できる箇所が多いからなんだろうな。一節に言いたいことが凝縮されているからいつまでもその部分が頭に残る。なんと言っても表現の仕方が魅力的だ。特に書き出しが上手い。読み手の関心を一気にひきつけるこの力は一体なんなんだ…

800

2005年3月9日 読書
ISBN:4043648014 文庫 川島 誠 角川書店 2002/06 ¥620

少年向けの本。二人の主人公が入れ替わりで話し手になるから、退屈しない分、多少読みづらいかもしれない。

内容から感じ取れる深みはなかったけど、若さゆえの熱い気持ちや、ちょっとすっぱくなるような気分は味わえた。
ISBN:4043740018 文庫 大崎 善生 角川書店 2004/03/25 ¥500
今更だけど、面白かった。自分と重なる気持ちがたくさんあって、ちょっと驚いた。あいまいな気持ちを文字にすることができるってすごい。

「ただであげるものだからこそ一番神経をつかう」っていうナベさんの言葉に感動した。お金払ったら当然いいものが手に入るっていう意識でほとんどの人が生活しているんだから、飲食店の「水」のように無料で提供するものは、どうせあげるものなのだから、それを店の付加価値となるところまで高めたら成功につながるんだ。

全体のストーリーもよかったし、久しぶりに夢中で本を読んだ気がする一冊。
ISBN:4093861382 単行本 市川 拓司 小学館 2004/03/31 ¥1,575
いま会いにゆきますを読んでよかったので第2弾。これも純愛。ラストで、彼とは誰かがやっとわかった。
市川さんの作品は霊界とか幽霊とか、私の大嫌いなものをこんなにも恐怖から遠いものとして表現されているから不思議。
クリスマスイブに待ち合わせの前にカフェで読んでいたから、はたからみたらふられて泣いちゃってる子にみられたかな。でも感動で何回も泣いた。
ただしつこいくらい比喩が使われているからちょっと読みづらかったところもしばし・・・

美しき日々(上)

2004年10月27日 読書
ISBN:4140054379 単行本 安岡 明子 日本放送出版協会 2003/10/25 ¥1,575
 最近韓国ドラマにはまりつつある。冬ソナを途中から見て以来、ホテリアーも最終回まで見たし、新たに始まったPaPaも欠かさずみてる。そしてコレ。美しき日々はまだ2回の放映までしか見ていないから、「?」ておもっていたけど、本を読みはじめたらとまらない。一気に読んで先週は寝不足。上巻も下巻もよかったけど、結構初めはわかりにくかったから、色んな謎が解けた今、もう一度読み直しています。ありえない・・・てことが次から次へおこるのがいいよね。展開についていくので精一杯だけど。
ISBN:409386117X 単行本 市川 拓司 小学館 2003/03 ¥1,575
すごい面白かった。初めの伏線もさることながら、後半も驚きながら読むことができた。
私も、大切な誰かなら、幽霊として出会っても怖いって気持ちよりも別の感情がこみあげてくるんだろうな。タイムスリップして出会っても嬉しいだろうな。
素敵なストーリーだと思う。こんな話を自分の中で作れたらすごいなぁ。
ISBN:4062632578 文庫 遠藤 周作 講談社 1996/06 ¥620

長かった…
一度登場した人が何度も他の視点から登場するから入り込めた。神の存在や転生といったことがキーワードみたいだけど、信じたくても信じられない不可思議なことって多い。純粋に信じられる人の方がその人にとっては幸福だ。

私も小さい頃は、疑うことなく信じてた。今だって、多くの人と同じように心のどこかでは信じてる。でも、当然存在するということと、いるなら○○してほしいということは違う。全然違う。

人って基本的に信じたい生き物だから、不可思議なことほど信じたくて、信じられなくて、困惑するんだよね。
ISBN:4103808063 単行本 江國 香織 新潮社 2003/11/19 ¥1,470

12も短編が綴られていると、いくら読み進めても読み終えられないような気持ちになった。

「前進、もしくは前進のように思われるもの」:言葉が受け手にどのくらい影響を与えるのかを考えてしまった。そして、自分が受けとった言葉ほどには他人から発するそれは大したことではない。恩を受けた相手の娘を数日あずかることを、「名誉の問題」と言って夫と言い合った主人公の気持ちはわからなくもないけれど、それを笑ってやるくらいの余裕をいつも持っていたい。

「じゃこじゃこのビスケット」:いい思い出じゃないのにやたらと思い出すことってわりとある。「初めてのデート」のように、忘れられない記憶が誰にでもある。それは自分だけの宝物だから、胸の中にしまっておきたい。

「熱帯夜」:恋をしていると、行き止まりを見てしまうことが多々ある。不安をかきけそうとしても消えない。失うのがこわいもんね。

「煙草配りガール」:大切な人の言葉って、どうしてこんなにも特別なのかな。魔法にかかったように、その言葉に腹を立てたり幸せな気持ちになったり。腹が立ったときは煙草配りガールに中断してもらった方がいいかもね。

「溝」:自分の居場所は不確定なものだ。そして、それがないと更に不確定になってしまう気がする。特に、恋をしている時にそれを感じる。

「こまつま」:誰かに見られていることを意識して行動するって考えただけで疲れる。そしてよくわかる。実はこの作品、かなり共感してしまったのです。

「洋一も来られればよかったのにね」:読んだ後、何だか腹立たしい気持ちになった。どうして一緒にいたくない人と一緒にいるの?そんな気持ちからきたのだと思う。日常は、そういうことの方が多いことを当然知りつつも。

「住宅地」:不審に思っていた相手と少し言葉を交わしただけで初めの感情が吹き飛ぶことってある。頭には駅とか電車のような公共施設が浮かんできた。

「どこでもない場所」:本当のことでも、口にした途端に現実とは全然違う素敵なことを思わせることはたまにある。それは、時と場合によっては小さな罪悪感になったり、嬉しくなったりするけれど、私は嬉しく思ったりしたくないな。現実が悲しいでしょ。

「手」:この話はよくわからないので割愛。

「号泣する準備はできていた」:このタイトルがいい。ストーリーの中にもこの言葉がでてきたけれど、まるでパズルをはめたようにピタッとくる何かを感じた。すごく潔くもあるし、その逆でもある。この言葉にひかれてこの本を読んだのかも。

「そこなう」:小さな浮気を恋人に打ち明けた日のことを思い出した。元の関係には戻れないけれど、これから先も同じ未来をみていくということがせつない。新しく作っていく楽しみよりも失ってしまったものの代償が大きすぎるんだ。それでも大切な人なら手を離せない。
ISBN:4255001952 単行本 よしもと ばなな 朝日出版社 2003/06/12 ¥1,344

英訳がついていて、日本語と英語のどちらからでも味わえてお得なカンジがした。初期の作品なだけあって世界観が狭い気もしたけど、それはそれでじんわりと入り込めてなかなかよかった。

この作品は吉本ばななが22歳の時の作品だというから驚きだ。確かに、今の彼女の作品と比べたら粗いところもわかるけど、22歳。

私も大切な人がいなくなったらどうしようって結構考える。大切な人が夜遅くに車でどこかに行くって聞いただけで不安になる。だけど、今の私はまだそういうことをリアルには感じられない。

彼女独特の不思議な世界が、彼女のストーリーの中では「なんでもないことよ」というくらい自然に起こるので、今回も現実逃避しそうになった。

読んだ後、ちょっと元気になるストーリーかも。失恋したらもう一回読もう。

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