容疑者Xの献身

2007年10月29日 読書
ISBN:4163238603 単行本 東野 圭吾 文藝春秋 2005/08/25 ¥1,680

一日で読了しました。面白いし、美しかったです。人を想う気持ちってどうしてこんなにも美しく見えるんでしょうか。人から後ろ指を指されるようなことでも、信念をもってそれをやり遂げる気持ちは、性悪説に立っただけでは語り尽くせないことがたくさんありますね。このストーリーに重要な役割を果たしている湯川という教授はかなり興味深いですね。他の作品にもちらりといろんな場面で出せそうな人物ですね。ちなみに、月9とリンクしていたっていうのは初めて知りました。

小学五年生

2007年10月22日 読書
ISBN:4163257705 単行本 重松 清 文藝春秋 2007/03 ¥1,470

幼い頃の記憶がほとんどないという人が多いらしく、私は人から「よくそんな細かい事まで覚えているね」と言われることが多いです。もちろん、記憶がないと言い切る人だって、断片的には覚えていたり、何かの拍子に思い出したりすることはあるのだと思うけれど、そうしたことを踏まえても、周りの人間と比較すると、かなり多くのことを覚えているらしいです。そうは言っても、小学五年生―大体10歳頃からの記憶はわりと鮮明になっている人が多いのではないでしょうか。「最低限の常識」を身につけ、心も体も自己の変化に気づき、戸惑う成長期まっさかり。大人にはまだまだ遠いけれど、子供だと言われると、ちょっと反抗したくなるような時期です。この小説の中では何作か転校がテーマにとりあげられていました。以前のような関係を期待して、転校してしまった友人に会いに行った主人公が、予想に反して友人が構ってくれなかったという作品は胸が苦しくなりました。「去っていくものはあっさりしたものだ。残された方が悲しい」というようなことをよく聞きますが、それは一概には言えないということがわかってきました。それは相手への思いの強さだ、ということも言い切れないのではないかとも。過去を大切にする気持ち、現在を大切にする気持ち。そのバランスが個人差があるのだということが大きいのではないでしょうか。どれがいいとは言えないけれど、過去に関わりを持った人を大切に思い続けつつ、現在関係の深い人たちを大事にしていきたいです。

悪人

2007年10月21日 読書
ISBN:402250272X 単行本 吉田 修一 朝日新聞社出版局 2007/04 ¥1,890

ある人から見たイメージと別の人から見たイメージが異なるということは当然よくあることなのですが、その滑稽さがとても見事に描き出されていました。世の中に本当の悪人なんていない、という言葉をどこかで聞いたことがあります。人が罪をおかすのは、ちゃんと理由があって、その理由を知ってしまえば責められないことは多いのでしょう。確かに、この作品を読んでいると、世間からみた悪人が、必ずしも悪人とは言い切れず、むしろ被害者を悪人とも見れるような、何だか考えさせられました。こんなによみやすいミステリーもなかなかないです。読書の秋、ということもあって最近本を読みあさっていますが、これはおススメの一冊です。

スワンソング

2007年10月16日 読書
ISBN:4048737899 単行本 大崎 善生 角川書店 2007/09 ¥1,575

退屈でした。終始恋愛の悩みに支配されているし、この作品の登場人物も、どうしたのかと思うほどに少なく、作品の範囲が狭い。
でも、時折せつなくて、胸が苦しくて、気がつくと目頭が熱くなってしまうのが不思議でなりませんでした。
この作品に登場する由布子、由香はあまりに恋愛に深刻で、その2人の深刻さに主人公も引き連られて行く様子がよく伝わってきます。私は恋愛に限らず、結構ものごとを深刻にとらえてしまう方だったので、客観的にみると、それがどれだけ滑稽かということが身につまされました。
大崎さんは文章が美しいので、とても好きだったのですが、ちょっとワンパターンなところが否めないので、新たな境地が見たいです。
ISBN:4101237344 文庫 佐藤 多佳子 新潮社 2005/10 ¥660

こんなにもまっすぐな小説は貴重です。すっごいピュア。あまりのピュアさに感動しました。自分の過去をさかのぼっても、こんなに美しい気持ちはなかったような気がするのに、なぜ主人公たちの気持ちがよくわかるんでしょうか。ハートをわしづかみされたようなかんじでした。とても愛しくなる作品です。もう一回読み返します。
ISBN:4101425205 文庫 乃南 アサ 新潮社 2000/01 ¥740

直木賞だったんですけどね。
ちょっと疲れました。面白いといえば面白かったですけど、あまり学ぶことはなかったです。これは女性の視点だなぁ。。と思いました。

私に読む力が足りなかったのでは・・と思ってレビューをいくつか見ましたが、あまり評判よくないみたいですね。

借りてた本なのに、お茶を少しこぼしてしまって、それが一番衝撃的でした。

10月2日の日記

2007年10月2日 日常
今日は全然仕事しませんでした・・

そういえば

2007年9月28日 旅行
今月の初めに旅行へ行ってきたのでした。あっという間に日常に引き戻されて、すっかり忘れていました。行き先はグレートバリアリーフの玄関口として名高いケアンズ☆それはそれは素敵なところでした。コアラも抱っこできたし、熱帯雨林も堪能できたし、シーウォーカーも体験できたし・・旅はいいですね。終わっても思い出すと幸せになれます。

八日目の蝉

2007年9月26日 読書
ISBN:4120038165 単行本 角田 光代 中央公論新社 2007/03 ¥1,680

結構じりじりさせられる作品でした。堕胎経験のある女性が、不倫相手の家から乳児を誘拐して全国を逃亡しながら4歳まで育てる話と、その女性(誘拐犯)によって育てられた子として好奇の目にさらされながら成長した娘が自分とその女、実の親達との関係を見つめ直す話の二代にわたる輪廻を描いたものです。
もう一度読みたい作品ではないけれど、2つほど印象的な言葉があったので記しておきます。

自分を持っていないから、悪意や憎しみといった負の感情が薄い。

会わなければ忘れてしまうことができる。けれど会ってしまえば、百個のことを忘れていても別の百五十個のものがいっぺんに思い出される。
ISBN:4344013417 単行本 豊島 ミホ 幻冬舎 2007/06 ¥1,470

人形に関連した短編集。いつもとは一味違う豊島ミホワールドでした。いつものみずみずしさが抑えられていて、そのかわりにそっと蓋をしておきたいような静けさが感じられました。新しい境地ですかね。今後も楽しみですね。
ISBN:4620107174 単行本 あさの あつこ 毎日新聞社 2007/07/20 ¥1,260

バッテリーで有名なあさのあつこさんの作品。これは短編ですが、面白かったです。野球って本当に深くて広いスポーツなんだということが少しは理解できました。

幻夜

2007年9月22日 読書
ISBN:4087461343 文庫 東野 圭吾 集英社 2007/03 ¥1,000

1週間かけて半分位読んでいたのですが、残りの半分を一気に読破するために昨夜は朝方までかかってしまいました。。お陰でこの時間に起きるはめに・・やっぱり東野圭吾さんはすごすぎです。

あまりに美冬の得体が知れないから、本当に背筋が寒くなってしまいました。夜中にお風呂に入ることさえ薄気味悪い気分になったのは久しぶりです。

この作品のおそらく主人公とされている雅也があまりにも哀しい。そして男としてかっこよかった。

美冬は「風と共に去りぬ」のスカーレットのようだという件があったけれど、妙に納得しました。でも、自分の欲望を満たすために他人の犠牲は厭わないっていう生き方は本当に幸せなのかはわからないです。作品の中で美冬の気持ちにまでは触れられていないけれど、そのへんを自分の想像の中で膨らませると、その強さには圧倒されます。人間て絶対情があるから、なかなかこうは出来ないものです。そう思って読むと結構切ない。

白夜行の第2部なんですね。白夜行自体はドラマで観ただけなのですが、つながりがわかりにくくなっているようなので、白夜行を読んでいなくても十分に楽しめました。
ISBN:4101339147 文庫 江國 香織 新潮社 1998/02 ¥500

この4月から仲良くなった同僚たちのイチオシの作品です。江國香織はあまり合わないのですが、読んでみました。

「今、ホリー・ガーデン読んでるんだ」と言うと、2人は邪気のない笑顔で「いいでしょ!」「どこまで読んだ!?」「すごい共感できるでしょー!!」と言うので、ちょっと感想が言い出し辛くなりました・・ごめんよ。

確かに、共感できる部分は多く、女性ならではの考え方とか、気持ちとか、あいまいで、もやもやしたものがたくさんつまっている作品でした。ただ、正直に言うと、私はあとがきが一番よかったと思いました。

〜あとがき(抜粋)

なぜだか昔から、余分なものが好きです。それはたとえば誰かのことを知りたいと思ったら、その人の名前とか年齢とか職業とかではなく、その人が朝なにを食べるのか、とか、どこの歯みがきを使っているのか、とか、子供のころ理科と社会とどっちが得意だったのか、とか、喫茶店で紅茶を注文することとコーヒーを注文することとどちらが多いのか、とか、そんなことにばかり興味を持ってしまうということです。

余分なこと、無駄なこと、役に立たないこと。そういうものばかりでできている小説が書きたかった。

余分な時間ほど美しい時間はないと思っています。

そうして、これはたくさんの余分な時間を共有してきた二人の物語です。二人と二人をめぐる人々の、日々の余分の物語〜

もう、本当にそのとおりだと思いました。そして、この小説は美しく仕上がっています。現実はこうはならないと思いますが。。

果歩が時々口ずさむ尾形亀之助さんの詩が、すごくいいなとおもいました。ちょっと色々読んでみたいです。

そうそう、忘れないように教訓も記しておきます。

「結局、感情的になった方が負けなのだ。余分な好意が人を感情的にする。」

でも、「余分な好意」って大切ですよね。
ISBN:4087484920 文庫 村山 由佳 集英社 1996/06 ¥410

ずっと気になっていた本で、読もう読もうと思いつつ、映画化がされてもなかなか手に取ることがありませんでしたが、ようやく念願叶って読み終わりました。
これは・・ラブストーリーですね。ものすごくっっ。笑。

だけど、今は丁度こういうのが読みたかったので、何だか自分の気分にうまくはまってしまいました。

本も人と同じで、タイミングによって出会い方や印象が変わってくるんだということに最近気づき始めました。いつ読んでもいいなと思う本や、いつ会ってもいいなと思う人はたくさんいるけれど、そんな作品や人ばかりじゃないから、そういう出会いがタイミングよく訪れたとき、小さな奇跡なんじゃないか、なんて思ったりしました。
ISBN:4048736620 単行本 雫井 脩介 角川書店 2006/01/31 ¥1,575

大切な人に貸していただいて読みました。

「人類は道具を使うことによって進化したのよ。それへのこだわりがなくなったら人類じゃないわよ」という件で、普通よりも少しだけモノへのこだわりのあるあの人がうなずいている様子が目に浮かんで、少し笑ってしまいました。

読み進めていくと、いつの間にか私も主人公の気持ちに近づいて、読み終わる頃にはすっかり伊吹先生のファンになっていました。

この本の持ち主は、伊吹先生の「小さなことでも心の底から幸せに感じることができるというところ、何事にも一所懸命に取り組むところがあなたに似ていると思いました」なんて素敵な言葉を贈ってくれた。それは買いかぶりすぎだと思うけれど、そんな風に思っていてくれていることが素直に嬉しくて、涙が出そうになった。そんなことを言ってくれる人がこの世の中に一人でもいるということが、これからも私の自信につながるような気がします。

以下、覚えておきたい台詞を記録。
「出会いってさあ、偶然だ何だっていう以前に、意識するしないってことなんだなって思ったよ。通りすがりでもおかしくない関係が、意識することによって出会いになるのよ」

「世の中にはいろんな才能を持った人たちがいっぱいいて、私はその人たちに敬意や憧れを抱いている。そういう人たちの意見や考えを自分の中に取り込んで、私という人間の心は豊かになっている」

花宵道中

2007年8月12日 読書
ISBN:4103038314 単行本 宮木 あや子 新潮社 2007/02/21 ¥1,470

様々な遊女の生き方を哀しく綴った作品。とても美しくて、せつなくて、時代や背景事情は違っても、多くの女の人が共感し、涙を流せるのではないでしょうか。私も涙なしでは読めなかったです。こんな作品は今まで読んだことがないです。今の自分がどれほど幸福かということが身にしみてわかりました。

バッテリー 6 (6)

2007年7月12日 読書
ISBN:4043721064 文庫 あさの あつこ 角川書店 2007/04 ¥540

5巻で完結したと思っていたら、6巻まであったなんて、驚きました。
でも、この作品は6巻まで読んでも、まだ続きがあるよって言われたら「え、そうなの?」っていうかんじですね。どの巻で終わってもよかったような気がします。私はバッテリーのファンなので、もちろん7巻、8巻・・と続いてもらっても一向に構いませんが。野球をやっている友人が、巧の球の速さが半端じゃない、どうしても中学生の球だと思うとリアリティに欠ける・・といったようなことを言っていました。私は余計な知識がないので、「へえ、速いんだ〜」というかんじで読んでいたのですが、彼は納得がいかなかったよう。それぞれ感じ方が違って面白いですね。そうそう、6巻も面白かったです。
ISBN:4103971088 単行本 恩田 陸 新潮社 2007/03 ¥1,470

恩田陸さんの短編小説集です。とっても不思議なオハナシです。正に恩田ワールド。印象的な台詞をご紹介。

かつて人間の身体に付いていたものって身体を離れると、どうしてああもおぞましいのかしら。髪の毛だって、恋人の頭についていればとても愛しいのに、離れてしまうとあんなに嫌なものってないわよね。

本当にそうですね。同感。

個人的には冷凍みかんのオハナシが好きです。地球が縮小化された地球と連動する影響力のあるものを、自分のさじかげんでどうにでもなるのだとすれば、そんなコワイことはないですよね。いやー、考えさせられました。

怪しい人びと

2007年6月30日 読書
ISBN:4334922309 単行本 東野 圭吾 光文社 1994/02 ¥1,529

すべて読みやすかったですね。後味が悪くないものが多かったので、通勤電車に最適かもしれません。謎もわりと簡単だったので、頭が働いていなくてもわりと楽しく予想できるかも。
個人的には「甘いはずなのに」と「灯台にて」が好きです。

すごいと思ったのは、どの作品も同じくらいの深さ(浅さ)の印象を受けたことですね。

エイジ

2007年6月28日 読書
ISBN:4101349169 文庫 重松 清 新潮社 2004/06 ¥700

あまりに面白かったので、最寄り駅で降り損ねました。。
エイジはいい!すごくいいです。連続通り魔事件の犯人が同級生だったということをきっかけに、主人公の心が乱れる様子がリアルに描写されています。中学生の時には正体のわからなかった、どうしようもないいらだちが手に取るように思い出されました。中学生の自分に読ませたいですね。

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