ISBN:4309407609 文庫 角田 光代 河出書房新社 2005/10/05 ¥473

アジア放浪から半年ぶりに帰ってみると、恋人は別の男と暮らしていた。帰るところを失った主人公は、旅先で知り合った女性の一軒家へ転がり込む。

素朴なストーリーでしたが、素朴な中にもたくさん共感ができるところがありました。私も、旅先から帰った主人公のように、東京で一人暮らしをはじめてからは、職場でもそれ以外でも、興味のない相手に対して終始にこやかに知りたくもない質問をするようになっています。

「自分のまえにもう一人よく似たやつがひっついている。そいつはいつも中途半端な笑みを浮かべて、僕自身が何か考えたり疑ったりするより先に、あてがわれた場所にいち早くなじんで見せ、条件反射的に言葉をつなぎ、面白くもないのに馬鹿笑いをし、それでうまくやっていると信じている。実際そいつに立ち回らせておけば日々は滞りなく過ぎていくのだ」

とても理解できる表現です。そんな自分に違和感を感じずにはいられないんですよね。これまでの自分と違うと、本当の自分ではないと思えて仕方がない。私がまさに最近感じていることです。

ストーリー         ★★☆☆☆
登場人物の魅力    ★★☆☆☆
文章(共感度、美しさ)★★★☆☆ 
総合           ★★☆☆☆

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