ISBN:4062133687 単行本 豊島 ミホ 講談社 2006/03/28 ¥1,470

豊島ミホさん、いいですね。今回もとても清清しい印象でした。ストーリーがすごく面白いとかじゃないんですが、この人の書く文章が好きです。むずがゆいかんじとか、初々しいかんじ、意外と大人だったり、背伸びしてみたり、そんな中学生頃の微妙な気持ちを見事に表現していて、読んでいると夢中になります。

また、今回の作品は、詩がひとつのポイントになっていましたが、昔国語で習った詩を、大人になって、今回の小説を通して読んだことによって、何だかすごく心に残りました。

りんご

両手をどんなに大きく 大きくひろげても
かかえきれないこの気持ち

りんごが一つ
日あたりに転がっている

この山村暮鳥の有名な作品は、たくさんの解釈があるそうです。
大きく分けて2つ。
「かかえきれないこの気持ち」の解釈がポイントになります。幸福の気持ち、不幸の気持ち、どちらを意味しているのかは、読み手の気分で変わるはずです。だからこそ、私はこの詩が素晴らしいと思います。「りんご」だってそうです。りんごは単純な、どこにでもある果物。そのりんごが日あたりに転がっている、ただそれだけの情景は、見る人によって悲しくも幸せにも思えるでしょう。

詩は大人の読み物かもしれないですね。


ストーリー         ★★★★☆
登場人物の魅力    ★★★☆☆
文章(共感度、美しさ)★★★☆☆ 
総合           ★★★☆☆

コメント

nophoto
ハンカチ皇女
2006年10月7日21:21

いま学校で りんごをやってます。
自分は、耀い感じだとおもいます。

みぃ
みぃ
2006年10月7日21:45

それはよかったです。たとえ違う印象を感じるときにも、その分詩を味わえて得をしたと思えるといいですよね。