九月の四分の一

2005年5月9日 読書
ISBN:4104594016 単行本 大崎 善生 新潮社 2003/04 ¥1,365

「動物園ではねキリンが通貨になるんだよ。キリンは、とても繁殖力が強くてどこの動物園でも数が安定しているんだ。それに適当に人気もある。だからね、動物はキリンを通貨にして取引されるんだ。」

「カバは何キリンとか?」

「そう、カバは20キリン」

「サイは?」

「サイは高いよ。300キリンはするなあ、きっと。以前はね、ペリカンが通貨だったんだ。だけどペリカンはあまりにも増えすぎて貨幣価値が下落してしまったのさ。ペリカンインフレとでも言うのかな。数年前に世界中の動物園の関係者が集まってペリカン会議というのが開催されて、そこで通貨はキリンに切り替えられたんだ」


「ねえ。私って、あなたにとって…何キリンなの?」

―ケンジントンに捧げる花束より抜粋―


こういう会話は素敵だな。私もこんなことを言い合いたい。

GWで、パンダ、キリン、ゾウ、サイ、カバ、ライオン、牛、鹿、馬、豚、羊…今までの人生の中で一番動物を見た。知っている動物ばかりだったけど、物心がついてからこんなにもまじまじと動物を見たのは初めてだった。知っているけど知らない動物がこれだけいたことに驚かされる。

動物をおなかいっぱい見たせいか、妙にキリンの話が心に残る。「あなたにとって、私は何キリンなの?」
そんな問いを投げかけてみようかな。

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